tekonke

megane

それを、あわてて掻き集めて、金庫の中へしまいこんだ。そして、意味のあるようなないような、妙な笑いかたを頬杖にのせて、「あとで浮気調査 大阪 へおいで」と、老人のする別種な気味のわるいはにかみをして言った。「ええ、行くわ。私も話があるから」老人は毛皮のスリッパを穿き直して、小売部の横から狭い階段を螺旋なりに登って行った。三階は二階よりも、四階は三階よりも狭くなって、やっと一坪半ぐらいな、そして天井だけが妙に高い平らな感じのする一室に突き当った。その扁平な狭い所へもって来て、要りそうもない扉が付いていた。扉を締めるとそこは壁と壁との間に隠れこんだような秘密的な落着きが得られる。床にはダブル寝床がいっぱいに置かれ、仰ぐ上には、大きな真の歯車だの油穴のあいている鉄板だの振子だのが、機関室の一部みたいに組みあわされて、その機械の間に、二個の丸い窓があった。いうまでもなく、ここは四階の携帯塔の携帯の心臓であった。丸い窓はその字板を切りぬいている鍵穴である。助手さんは一週間に一度ずつは、この携帯塔の裏に登って、離婚老人の自由意志の下に、そむくことのできない義務を買われていた。ベッドはすぐに事もなげな二人のためのものになり、壁の字板の鍵穴からは、煙草の煙が紫いろに夕方の外気へながれて出た。