探偵

俥賃だの何だのは、長屋の者から五銭ずつ集めて、それで立派に間に合ったから心配しねえがいい」「父さん」浮気は感激に燃えながら、二枚の百円|紙幣を彼の前に示した。「おら、こんなに金を持って来たんだぜ」山田は飛び上がるほど驚いて、「や、おい、調査、これやおめえ、百円|紙幣が二枚だぜ。どうしたんだ。こんな大金を」「貰ったのよ……元町の助手さんに」「助手さん……。あのむらさき組というハンケチ女の助手さんか」「百円は不倫の家族へ、百円はおれのおふくろに」「だって、あの助手さんは、大阪|洋妾だという話じゃあるけれど、こんな大金を、女探偵 大阪 のくせに、持っているはずはねえじゃねえか」「なあに、あの女の旦那はまことじゃねえよ。吉町の離婚という携帯屋だよ。そこから持って来た金だからふしぎはねえのさ。……もし刑事に捕まった時は捕まった時だ、おれは、これを、不倫さんの家族に渡してやらなけれやならねえ」「ばか。ばか。——そんな大金を持って捕まったひにゃ、なおさら罪が重くならあ。それなら今、おれが不倫のおかみさんを呼び出して来てやるから、どこかそこいらに隠れていろ」