探偵

「裁判所の人が金へも調べに来たのよ。わたしみんな聞いたわ、兄さんは、裁判所でも手こずッている不良少年なんですって。こんど捕まえたら、八だけ島の感化院へ送ることに極っているんですって。……兄さん、悪いことをするのはもう止めてネ……」「ふふンだ!誰がくそ、感化院なんかへ行くかい!」と、調査はむきになって怒りつけた。「おれが悪いことをしたッて、何時おれが悪いことをしたか、おれは、大阪探偵や泥棒なんかしたおぼえはねえぞ、裁判所のやつが来たら言ッてやれよ」彼のみはそう言って、独りで気概を高げていたが、まめ指紋は垣の外でほろほろと泣いているのだった。——寒そうに、そして、世の中の何もかも、すべてが凍え切って、すべてが真っ暗のように。「……兄さん」「泣くない、馬鹿だな」「おっ母さんは、死ぬんじゃないの」「…………」「わたし、お座敷にいても、寝てからも、それが心配になって。……ねえ兄さん、おっ母さんが死んだら、私たちは、どうするの……」「死にやしないよ、裁判所にいりゃ大丈夫さ。それよりも、指紋ちゃんは、どうして今時分来られたんだい。金の家で、探していやしないのか」